厨房機器

ホシザキスチームコンベクションオーブンの選び方

最近では家庭用モデルも登場し始めたスチームコンベクションオーブン、略してスチコン。飲食店などで調理に携わる際には購入をするか悩まれるのではないでしょうか。また大規模飲食店に設置するものとイメージを持つ方も多いのですが、小規模飲食店にも設置するメリットはたくさんあります。今回はスチームコンベクションオーブンのご紹介と選び方についてご案内いたします。

スチームコンベクションオーブンとは

スチーム装置による水蒸気とコンベクションオーブンによるホットエアー(熱風)を使う多機能加熱調理機器のことでスチコン1台で「蒸す」・「焼く」・「煮る」・「茹でる」・「炒める」・「炊く」・「揚げる」・「温める」などの調理が可能です。調理モード・調理温度・調理時間を設定するだけで誰にでも調理が出来るようになります。また同時にいくつかの調理を行うことが出来るので、短時間でたくさんの食事提供が行うことが可能になります。

スチームコンベクションオーブンの特徴

スチコンには主に①食材の旨味を逃さない②調理時間の短縮③温度調節が簡単といった3つの特徴があります。
詳しく内容を確認していきましょう。

①食材の旨味を逃さない
スチコンではスチーム機能による水蒸気により食材をコーティングしたまま火を通すことが出来ます。そのため火加減が難しい料理(ローストビーフなどの肉料理)や経験と勘が必要な料理も、失敗せずに、旨みを逃がすことなく美味しく簡単に調理が可能になります。スチコンを使用すれば設定を行うだけで誰にでもプロの味を再現出来るのです。

②調理時間の短縮
加熱に水蒸気を用いることで熱伝導が良い凝縮熱を利用して、調理時間短縮を可能にしています。一度に多くの食事を提供する飲食店では、調理時間が短縮されれば、お客様満足度向上にもつながりますし、厨房スタッフの作業効率も上がりメリットがたくさんですよね。

③温度調節が簡単
最近のスチコンは簡単にボタンやタッチパネルで温度調節を設定出来るようになっています。温度調節の難しい調理でも煮崩れしにくく、ムラなく焼けるなど適切な温度で簡単に調理をしてくれるので失敗が少なくなります。

スチコンは一台でたくさん活躍してくれる優れものですね。次にスチコンの詳しい機能について確認していきましょう。

スチームコンベクションオーブンの機能

スチコンには7つの調理機能があり、それぞれを活用することで幅広い調理・食事提供を行うことが出来ます。

①スチーム料理
スチームにより食材をムラなく加熱を行い、調理温度や調理設定を変えることで様々な料理に対応可能になります。

②ホットエアー調理
庫内温度を設定し熱風を強制的に滞留させることで一定の温度を保ち、均一にムラなく焼き上げることが出来ます。

③コンビネーション調理
ホットエアー調理にスチームを組み合わせてそれぞれの長所を生かした調理法になります。庫内温度を一定にでき、スチーム量を切り替えることも可能です。

④芯温調理
食材の中心温度をセンサーで測定し確認しながら調理が可能です。食材内部の焼き加減を調節したり、食材の生焼けによる食中の予防にもなります。

⑤再加熱(リヒーティング)調理
ホットエアーとスチームを組み合わせて加熱することで、料理の乾燥を防ぎながら素早く再加熱が出来ます。

⑥芯温一定調理
食材の芯温を一定に保ちながら調理する方法になります。食材の芯温が設定温度に達すると庫内は芯温設定温度をキープするので、低温の長時間の調理(保温)が可能です。お客様へ提供する直前まで温かいままにしておける上に、肉料理などで食中毒を防止して安全性を高める効果もあります。

⑦一定温度差調理
食材の芯温と庫内温度を一定の差に保ちながら調理する方法のことで、焼き色はつけたくないが芯温はしっかり上げたい、お肉を柔らかく調理するといったデリケートな調理も可能にします。ボリュームロスを抑えつつ、柔らかくジューシーに仕上げることが出来ますよ。

この様にスチコンにはあらゆる機能があり、一台で出来る調理の幅も広く、誰にでも簡単に同じものを調理・再現が出来る仕様になっています。様々な料理に挑戦することもスチコンであれば簡単におこなうことが出来ます。

導入するメリット・デメリット

今までにスチコンの特徴や機能について説明してまいりました。その内容を知ったうえで、スチコンのメリット・デメリットを確認し、ご自身のお店に必要な1台かどうかを検討していきましょう。

メリット

一台で何役もこなす万能調理機器
通常厨房にはコンロや炊飯器、フライヤーといった様々な調理機器が必要になりますが、スチコンは1台でそれぞれの機能をすべて兼ね備えています。ですのでスチコンを1台導入するだけでほかの調理機器を設置するスペースや購入費用を削減することが可能です。作業スペースの確保が作業効率にかかわってくる飲食店にとっては大きなメリットではないでしょうか。

ボタン一つで誰でも簡単にプロの味を再現できる
スチコンは設定さえ行えば、だれが操作しても同じ料理を提供することが可能です。つまりアルバイトやパートの方など調理専門のスタッフでなくても、美味しい料理を誰でも作れるため人件費の削減にもつながります。これは小規模飲食店においても非常に魅力的なメリットですね。

調理の失敗がなく、食材の無駄が出ないように出来る
火加減などが難しい料理は失敗してしまうこともあるかと思います。しかしスチコンでは、指定された料理を機械が忠実に調理してくれるため設定を正しくおこなえばボタン一つで完成します。このような調理における無駄を省くことが出来るため、材料費が無駄にかからないようにもしてくれる機械です。

デメリット

購入費用が高い
スチコンのデメリットといえば、購入費用が高いことがあげられます。しかし最近は小型化が進んでいたりと価格も抑えられつつコンパクトな機種も増えてきていて導入しやすくなっています。また初期費用はかかりますが、導入後の人件費やそのほかの機器の購入が不要になる点等をふまえると、わりと早い段階で利益が出るようになるかと思います。

操作方法や特性について理解が必要
スチコンは1台で何役もこなしますが、それぞれ作りたい料理に合わせて設定を行う必要があります。また使用する機能によってどのような調理が可能なのか、向いているのかといったことを把握しておく必要もあります。必ず購入の際には説明を受けて使い方の確認をしましょう。

いかかでしょうか。
デメリットもありますが1台で何役もの調理機器の代わりをこなし、誰にでも簡単に美味しい料理を作ることが出来る点は飲食店の規模に関わらず、大きなメリットになります。最近の飲食店業界は人手不足も問題となっているため、スチコンの導入は人件費削減や、食材ロスの削減など長期的にみると結果コスト削減につながることも多いですよ。

スチームコンベクションオーブンの選び方

いよいよご自身のお店に適したスチコンの選び方について確認していきます。スチームコンベクションオーブンを選ぶ際には①設置スペース②熱源の仕様③作業導線④作りたい料理の4つにつて確認してから決めていきましょう。

①設置スペースを確認しよう
他の厨房機器を導入する際にも言えることですが、購入してから設置しようとすると幅が足りなかったとなっては大変です。必ず購入前に設置が可能かスペースの確認、購入予定のスチコンのサイズ確認をおこないましょう。

②熱源の仕様を確認しよう
スチームコンベクションオーブンにはメーカーにもよりますが、ガスを使用するタイプと電気を使用するタイプの2種類あります。新規店舗の厨房であればどちらにするか選びやすいかとは思いますが、既存店に導入する場合には電気やガスの増設が難しい場合も多いかと思います。必ず熱源の仕様につて確認し、使用可能か確かめておきましょう。

③作業導線を確認しよう
設置が出来ても、実際作業を行う際にドアの開閉が上手くいかない、他のスタッフが通れなくなってしまうといったトラブルが発生することも。設置場所が決まったら作業導線を考えて、問題なく使用できるか、他のスタッフの邪魔にならないか等しっかりと確認しておきましょう。

④作りたい料理を確認しよう
料理の内容や一度に作る量によって選ぶ機種は変わってきますよね。スチコンを導入してどのような料理を、どのくらいの量作りたいのかを確認しておきましょう。

上記4つについてはしっかり確認をしておくことで、導入後の作業が非常にスムーズに進みます。メーカーによっては実演会を行ったり、詳しい使い方やメニュー・レシピについて㏋やネット上で公開していることもあります。使用する際のイメージが湧きにくい場合には一度上記を活用してみてください。

スチームコンベクションオーブンのご紹介

業務用厨房機器メーカーの中でも有名なホシザキはコンベクションオーブンも取り扱っています。現在販売されている「クックエブリオ」シリーズは最小モデルは奥行き560㎜と業界の中でも小型のタイプもあり、小規模飲食店でも省スペースで設置が可能です。またホシザキではインターネット上でスチコンの使い方やレシピといった情報を公開しているため、初めてスチコンを導入するといった方にもおすすめです。どの機種でも電気とガスの2タイプが選べるようになっていたり、扉を右開きか左開きかを選べるため、お店の都合に合わせて好きなものを選ぶことも出来ますよ。

機種のご紹介

現在ホシザキでは全部で10種類のスチコンが販売されており、①ハイクラスモデル②スタンダードモデル③大容量モデルの3タイプあります。それぞれの特徴を紹介しながらどの様な業種の方へおすすめかご説明いたします。

①ハイクラスモデル(Sシリーズ)
こちらは現在販売されているホシザキスチコンの中で最も上位の機種になります。水蒸気設定は6段階、風量は4段階、無風運転や手動加湿など細かい調整を行ったり、調理設定もスタンダードモデルよりも細かく出来る仕様になっています。そのため今までスチコンを使用していた方で扱いに慣れている飲食店や、より料理の質を上げたい飲食店には大変おすすめです。また細かい設定を行えるため肉料理や製菓等の調理を必要とする飲食店にも選ばれています。庫内のお掃除を自動で行ってくれるのもハイクラスモデルのみの仕様になっています。奥行560㎜のMIC-5HTC3(電気)、MIC-5HTC-G(ガス)のコンパクトタイプはサイズ2/3ホテルパンが5枚収納
奥行770㎜のMIC-6HSC3(電気)、MIC-6HSC-G(ガス)はサイズ1/1ホテルパンが6枚収納出来るしようになっていますので厨房の設置スペースや一度に調理したい料理の種類や量を考慮して選んでください。

②スタンダードモデル(Aシリーズ)
こちらはハイクラスモデル程の細やかな設定は出来ませんが、その分初心者には扱いやすくまた購入しやすい機種になります。奥行560㎜のMIC-5HTC3(電気)、MIC-5HTC-G(ガス)は非常にコンパクトであるため厨房の狭い飲食店や初めて導入する際にはおすすめです。
また奥行770㎜のMIC-6SC3(電気)、MIC-6SC-G(ガス)はスタンダードモデルでありながら水蒸気設定6段階、風量3段階、庫内ファン正逆回転機能などの仕様があります。

③大容量モデル
名前の通り他のモデルに比べて大型のサイズで一度に大量の調理が行える機種になります。こちらも他のモデル同様MIC-10SC3(電気)、MIC-10SC-G(ガス)の2タイプから選ぶことが出来ます。サイズは幅900×奥行770×高さ1050㎜になりサイズ1/1ホテルパンが10枚も収納可能です。ホテルや旅館の厨房や、学校や病院の給食施設など一度に何百食と提供する業種に非常に人気です。また他にも製菓店やパン屋向けに欧州天板仕様のタイプや、同じサイズの機種であれば2段重ねで設置することも出来るため省スペースで大量調理が可能にできるなどホシザキのスチコンにはあらゆる飲食店に対応が可能です。

いかかでしょうか。
一台で誰にでも簡単に美味しい料理を短時間で調理が出来る万能調理器であるスチームコンベクションオーブンは、飲食店にとって強い味方になる存在です。またスチコンを導入することで、設置不要になる厨房機器もあり、結果初期コストも抑えられることもあります。あなたのお店にピッタリなスチコンを導入してより良い厨房環境を整えてみてくださいね。